「手刻みした木組みの家」の建て方前に考えること

梅雨時期前の暑い日が続きますが皆様いかがお過ごしでしょうか。熱中症対策を十分行いご自愛ください。

さて、下仁田町の現場の建て方がいよいよ今週となりました。その前に構造について考えてみましたのでご紹介できればと思います。

皆様は住まいづくりに何を求めますか?

耐震性や断熱性能はもはや当たり前の時代となりました。その当たり前のことをどれだけ真剣に取り組んでいるかが重要になると思います。

弊社では近年より許容応力度計算による構造計算を一棟一棟行い、耐震性の最高等級である耐震等級3(長期優良住宅認定)を標準として設計施工しております。

写真は「通り土間と西にひらく家」

柱や梁は構造計算の結果より少し大きめの材を使い、安全を確保しております。

また、耐力壁(筋交いや面材)の量や床構面、屋根構面という構造体もバランスをみて検討し設計しております。

特に構造材が見えるつくり(あらわし)となると金物に気を使うところです。
構造上重要な仕口(梁と梁がT字に合わさる部分や柱と梁が合わさる部分)や継手(梁と梁が同一方向で継ぐ部分)が外力により耐えられるかが重要です。

写真は「まちなか山荘の家」

筋交いや面材等の鉛直構面(縦方向の強さ)が大きくなると梁と梁や梁と柱の引抜力が大きくなり、強い金物が必要になります。しかし、強い金物に頼りすぎるのも良いとは言えません。バランスを考えた耐力壁を考えることが重要です。

構造計算では先ず建物の重量を算出することから始めます。瓦屋根なのかガルバリウム鋼板なのかでも変わってきます。外壁は板張りと塗り壁でも違ってきます。近年ではZEH水準という壁量等の見直しも行われています。高断熱化により屋根や壁の断熱材が増え重量が増えるという考え方です。また太陽光パネルの重量も検討します。

地震力は建物の重量により変わってきます。瓦屋根が不利ということではありません。瓦屋根に相応した構造をつくれば問題ないのです。

今回はその瓦屋根の住まい。壁はいつもより多いですが昔ながらの屋根の格好になります。また、棟梁の住まいですべての構造材を手刻みしました。

どんな住まいになるでしょうか。建て方が今から楽しみです。

下山勇志